〜日本酒を料理と合せて極める〜

地酒の地酒たる所以は、風土が持つ個性ある味わいではないでしょうか。
その味わいを表現する臨場感あふれる造り「無ろ過のお酒」は、仕込み水、酒米、酵母、造り、熟成などの違いを
蔵やお酒の個性として豊かに表します。

ナショナルブランドでは味わえない、タンク違いのすっぴんのお酒を四季折々に味わいを重ねてゆく。
食中酒としてそんな熟成への味わいの変化の中で、旬な料理をはじめイタリアンやフレンチ、中華料理などとも
合せてみたいものです。
*「無ろ過のお酒」とはろ過をしていないお酒のことです。
◎料理とお酒の合わせ方

同調(相乗効果)
 同じような風味をもつもの同士は相性がよい。
調和
 個性の違いが新たな調和をもたらす。
爽快
 料理や油、脂肪分のくどさを洗い流し、口の中をさっぱりさせる。
 どちらかの味が引き立つ。料理のおいしさがアップorお酒のおいしさがアップ。
産地
 同じ産地のものは合いやすい。
 特に料理とワインで言われる。水とか土壌、温度質とが同じ環境(風土)で育った作物だからかもしれません。

◎料理と日本酒の合わせ方のポイント

1.味わいの強さで合わせる。
 さっぱりした料理にはさっぱりしたお酒が、こってりした料理には味のある純米酒が合う。

2.同質の味わいで合わせる。
 同じような風味を持つもの同士は相性がよい。
 料理の隠し味にも使われるとおり、日本酒には、料理の中にある同質の旨み成分が多く含まれています。
 その分、料理と同調(相乗効果)が得られるといえます。
 お酒と料理を合わせる場合、日本酒の持つ旨口で穏やかな香味は味・濃淡・温度などの要素に対して
 お互いに同調する事で相乗効果を生む。

3.爽快な酸で洗い流す
 また、爽快で酸のあるタイプのお酒は、料理や油、脂肪分のくどさを洗い流し、口の中をさっぱりさせる効果がある。

以上のポイントを踏まえた上で、料理の甘辛・濃淡などに対する相性の良いお酒の基本的な考え方は
次のとおりです。
 料理タイプ  料理  相性のよいお酒のタイプ
 塩辛い料理  塩辛・塩焼  味のある辛口タイプのお酒
 辛い料理  からし和え・明太子  甘酸タイプのお酒
 甘い料理  黒豆・甘露煮  甘口タイプのお酒
 濃い味の料理  照り焼き・あら煮  濃醇なタイプのお酒
 薄い味の料理  酒蒸し・かまぼこ  淡麗なタイプのお酒
 脂っこい料理  角煮・唐揚げ  味のある酸のしっかりしたタイプのお酒or軽いタイプのお酒
 淡泊な料理  白身魚の刺身・豆腐  淡麗なタイプのお酒

◎日本酒の4タイプと料理の相性

お酒は大きく分けて4つのタイプに分類できます。タイプに合わせてそれぞれ相性のいい料理があり、
前項の合わせ方のポイントを踏まえてうまく合う料理またはお酒を見つければ相乗効果により料理もお酒も
より美味しくいただけます。


1.香りが高いタイプ(薫酒くんしゅ
華やかな香りと爽やかな味わいを持つこのタイプは、まさに食前酒的飲用に適する。4タイプの中で一番
香気成分が強く、華やかな香りが主体となる為に、和・洋・中を問わず料理を選ぶ傾向にあるタイプである。
比較的相性の良い料理として、このタイプと同様の印象を持つもの清涼な風味を持つようなもの、素材自体に
自然で柔らかな甘味を持つもの、シンプルな味付けのものなどがより好相性を示す。


2.軽快でなめらかなタイプ(爽酒そうしゅ
爽快な香りと軽快な味わいを持つこのタイプは、料理との相性は幅広い。特に軽快な旨みを持った料理、
淡い味付けの料理と同調の方向を示す。
淡泊な素材を前面に活かしたものや、清涼感溢れる風味を持つものと合わせると、双方の爽やかさが
相乗効果で引き立つ。


3.コクのあるタイプ(醇酒じゅんしゅ
ふくよかな香りとコクのある味わいのこのタイプは、まさに食中酒として最適であり、料理との相性の
許容範囲も非常に広い。
特に、しっかりした旨みを持つ料理との方向性を示す。また、アクの強い食材、発酵食品などの強い風味にも
負けない力強い酒質を持ち、含み香に乳製品を思わせるクリーミーな香りを持つことから、生クリームや
バターを使った洋食系の料理とも好相性を見せる。


4.熟成タイプ(熟酒じゅくしゅ
練れた香りと豊潤な味わいのこのタイプは食後酒的な飲用にも適する。非常に個性的で力強い味わいを持つ為に
料理を選ぶ傾向にあるが、他のタイプでは対抗できないような風味の強い料理、濃厚な味付けの料理と
うまく引き合い、同調する。


◎料理とお酒の相性ファイル(料理と日本酒の相性記入表)

香り高い吟醸系のお酒から、生モト山廃のどっしりした純米のお酒、熟成香たっぷりの熟成酒までいろいろ。
では、どう合わせるか迷っちゃいますね。まずは普段の料理からでもいろいろやってみませんか。
自分なりに納得できるものが1つでも見つかれば、そこから至福の世界が広がっていきます。
そこで記入表を造りました。実際の食事&日本酒のメモとしてご利用ください!!
実際に食事をしながら記入すれば、日本酒のタイプがわかり、料理との相性がよくわかるように工夫しました。
「相性のよい料理例」付の記入表です。ご自分のマイファイルとしてご活用ください。


ダウンロードしてご自由にお使いください。
(できれば使い勝手等、メールいただけましたら幸いです。今後の改良等の参考にさせていただきます。
          料理とお酒の相性ファイルのPDFファイルダウンロードはこちらから>>>
    料理とお酒の相性ファイルの解説書PDFファイルダウンロードは 1 2 3 ページ



 作成履歴 Ver.1 2008年5月9日   初版
      Ver.1.1 2008年5月14日 料理例、誤字訂正    以上
 参考著書として、「改訂きき酒師必携」より、お酒のタイプ別に相性のよい料理例を引用させていただきました。


◎料理とお酒の相性ファイル活用解説

日本酒の可能性、もっと日本酒を楽しんでもらいたい!!と思い、作成しました。
お酒タイプ別に合うお料理例などはありましたが、記録用に「料理」と「お酒」と「お酒のタイプ」のINDEXが
ついた書き込み用ファイルはなかったように思います。
自分なりに美味しい関係を見つけていく手掛かりにして、最高の料理と日本酒のマリアージュを楽しんでみては
いかがでしょうか?


記入方法を簡単にご説明します。タイトル(料理とお酒の相性ファイル)のすぐ下の2行はINDEX部分です。
1行目に「場所」、「料理」とそれに合った「お酒」を書き込みできます。
2行目のINDEX部分「タイプ」は、下の日本酒タイプ分類表の中央にある十文字型の枠の中に書かれた数字に
 対応しています。
縦軸が”香り軸”で、香りの少ない1から薫り高い6まで6段階で評価して「タイプ 香」欄の該当する数字に
○をつけます。
横軸は”味わい軸”で、味の淡い1から味の強い6まで6段階で評価して「タイプ 味」欄の該当する数字に
○をつけます。


 薫酒、爽酒、醇酒、熟酒タイプは、解説(◎日本酒の4タイプと料理の相性)を参考にして下さい。
 また、4タイプに相性のよい料理例がそれぞれありますので、そこから合うお酒のタイプを逆引きしてみると、
 勘所がつかめると思います。
 料理例の中の「反 風味の強い料理」は、「風味の強い料理には合わない」という意味です。他の「反 ○○」も
  同様の解釈でお願いします。
 * 面白いのは、お酒の酒米違いで相性の良い料理があることです。
 * 
料飲店様との勉強会で、わかりやすい相性解説がご案内できます>>>こちらから

料理にお酒を合わせて、また、お酒に料理を合わせて、もっともっと楽しんじゃいましょう!

  


 

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